公開: 2023年4月13日
更新: 2023年4月13日
ブッシュ元大統領が、200ドルの万年筆を贈られたことを申告しなかった問題について、「忘れた」ことを理由にしたことは、自己弁護の方法としては問題がありませんでした。ブッシュ元大統領が本当に忘れたのかどうかを確認することはできないからです。そこで、マスメディアは、大統領批判の方針を変更し、「200ドルの万年筆をもらったことを忘れた」大統領として、大統領の金銭感覚が一般市民から、大きくズレていることを批判しました。
このマスコミ側の方針転換は、大多数の国民の賛同を受けたようです。もちろん、マスコミ側の対応としては、大統領が「忘れた」わけではないことを立証する方針を貫くこともできたでしょう。しかし、そのために必要な労力の多さを考えると、その価値があるかどうかを考えなければなりません。マスコミ側は、大統領の釈明が、真実だとは考えてはいなかったでしょう。それは、国民の多くも同じだったと言えます。しかし、大統領の弁明の方法が巧妙だったので、正攻法での追及を諦めたと言えます。
マスコミ側の意図は達成されたと言えます。国民の多くには、大統領が申告を、意図的にしなかったことが、問題だったとの情報を伝えることに成功したからです。大統領側は、レトリック(説明方法)としては正しい選択をしましたが、そこに「意図がなかった」ことを印象付けることには、失敗しました。その後の大統領選挙で、元大統領は、クリントン候補と争い、負けてしまいました。現職の大統領が新人候補に負ける例は、米国社会では、珍しいことでした。